4年に一度のサッカー祭典であるW杯の開幕が11月20日に迫り、日本代表メンバーの現地入りが報じられるなど、その盛り上がりも一層熱の入ったものになっています。
ところで、試合をただ観戦するだけでないスポーツのもう一つの楽しみ方として、その結果を予想して賭けるスポーツベッティングがあります。ご存知の通り、そういった賭けを行うことのできるサイトはブックメーカーと呼ばれており、現在では進行中の試合に賭けることのできるライブベットが可能になるなど高い利便性もあって非常に高い人気を誇っています。日本からでもこういったブックメーカーでW杯に賭けることができます。
ブックメーカーはもともとイギリスで広く行われていましたが、特にここ2年ほどは、コロナ禍のため、スタジアムに足を運んで地元のチームを応援したり、多くのサポーターたちとともに現地の熱を感じたり、という楽しみ方が難しかったということもあり、ブックメーカーが一層の注目を集めるようになりました。
現在ブックメーカーはイギリスだけでなく多くのヨーロッパの国で合法化されていますが、現在ニューヨークを含むアメリカの多くの州でもブックメーカーの合法化、あるいはその検討がされていることもあり、今後さらにブックメーカーが世界のマーケットに浸透することが見込まれます。というわけでこの記事では世界のブックメーカー市場について少し見てみたいと思います。
世界のスポーツブックメーカー市場の規模は?
まずは現在の世界のスポーツブックメーカー市場についてみていきたいのですが、インドとアメリカに拠点を置く市場調査・コンサルティング会社Grand View Researchが発表した、スポーツベッティングの市場規模、シェア、傾向分析のレポートによると、2021年のスポーツベッティングの世界全体の市場規模は767.5億ドル(約11兆2519億円、1ドル=146円)とされており、2022年は 836.5億ドル、そして2030年には1821.2億ドルに達する見込みになっています。
この約11兆という数字ですが、角川アスキー総合研究所(東京・文京)が今年8月末に発表した『ファミ通ゲーム白書2022』で、世界のゲーム市場が21.9兆円とされていることから、その約半分と考えると、その非常の大きさが実感できるかと思います。
また上にも書いた通り、歴史的にブックメーカーはイギリスを中心としたヨーロッパで人気を集め、アメリカでも近年で合法化への扉を開く州が多くなっていますが、実際にレポートをみてみると、2021年の数字の30%がアジア太平洋地域によって占められています。
アジアはインドや中国といった人口の多い国をいくつも抱えています。インドもアメリカと同様、スポーツベッティングをはじめとしたギャンブルの合法性については州に判断が委ねられているようですが、単純にイメージだけだと法的な部分が厳しそうな印象のあるアジア諸国の実際は、意外とスポーツベッティングに対してオープンなのかもしれません。
日本はというと、これを合法化してライセンス化するなどの動きはまだない一方、一方でこれを明確に違法とする法律もないことから、グレーの状況が続いているようです。
ブックメーカーで人気のあるスポーツは?
同レポートでは、スポーツ競技ごとのシェアに関してもまとめており、世界のブックメーカー市場で人気のあるスポーツの種類がわかるようになっています。まず23%という高い割合で、ブックメーカー市場の4分の1近くを占めるのはご想像の通りサッカーで、レポートによると、今後もこの割合はさらに増える見込みとのこと。
続いて競馬がブックメーカー市場で二番目に人気のある競技となっています。日本では競馬は、公営ギャンブルの一つとして特例的に許可されており、非常に人気のあるギャンブルとして日本でも一般的に親しまれていますが、イギリスなどでも競馬は非常に人気のある競技となっており、海外の競馬にベットするためにブックメーカーを使っているという方もいるかもしれません。こちらも今後2030年までに、年10%ほどの高い成長率でさらに規模が大きくなることが見込まれています。ここに続くのが野球とバスケットボールで、日本でもこの二つのスポーツは実際にプレイすることと合わせて、非常に人気のある競技となっています。
最後に
スポーツベッティングは日本ではまだはっきりと合法とはなっておらず、あくまでもグレーゾーンという位置付けですが、世界的には多額の税収も望めることから、合法化への流れが主流となっています。
今後テクノロジーの進歩によって、どんなに仮想空間やメタバースのような仮想空間が発展したとしても、リアルで味わうことのできるスポーツの興奮と感動は、バーチャルなものに取って代わられることはないでしょう。さらなる市場の拡大が見込まれるスポーツブックメーカーも、日本で合法となる日もそう遠くないかもしれません。
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