アニメ映画『ブレッドウィナー』あらすじネタバレと感想レビュー!

42の国と地域で上映され、第90回アカデミー賞長編アニメ映画賞ノミネートをはじめ、数々の映画賞で評価された注目作、映画『ブレッドウィナー』が2019年12月20日に公開されます。

公開日:2019年12月20日 上映時間:94分 ジャンル:アニメーション 原作:デボラ・エリス

監督:ノラ・トゥーミー

脚本:アニータ・ドロン

本作は、タリバンの政権下にあるアフガニスタンを舞台に描かれた作品です。アフガニスタンの悲惨な現状を、世界中の子供や大人に伝えています。第90回アカデミー賞長編アニメ映画賞ノミネートや、アヌシー国際アニメーション映画祭観客賞・審査員特別賞・最優秀音楽賞受賞、アニー賞最優秀インディペンデント作品賞受賞のほか、数多くの映画賞を受賞しており、世界中で大きく注目を集めた作品が、満を持してスクリーンデビューします。

また、声優の半分をアフガニスタンにルーツを持つ俳優が担っており、音楽もアフガニスタン国立音楽院の学生たちが参加しています。

本作のタイトルにもなっている「ブレッドウィナー」は“一家の稼ぎ手”という意味で、戦争で荒地と化したアフガニスタンに暮らす家族のために、稼ぎ手とならざるを得ない11歳の少女パヴァーナを指しています。

原作は平和活動家としても活躍しているデボラ・エリスの「生きのびるために」です。ピーターパン賞をはじめ数々の文学賞を受賞したベストセラー児童文学です。17ヶ国語に翻訳され、英語版は2013年10月までに39回も重版されています。この作品は、実際にアフガニスタン現地へ足を運び、女性や子どもたちに数ヶ月間インタビューして聞き取った話を元に書き上げられました。本の印税は、ユニセフをはじめとする数々の団体にに寄付されています。

さらに本作には、アフガニスタンで少女たちの学校教育を支援しているアンジェリーナ・ジョリーが協力、助言をしています。実際にアフガニスタンの状況を知る人々の協力のもと、よりリアルな現状が描かれています。

監督のノラ・トゥーミーは、「ストーリーをより際立たせ、主人公の目に恐怖や怒り、そして希望など、より細かな表情を語らせる演出によって“アニメーションは子供向け”という先入観を打ち破りたい」と語ります。

舞台は2001年アメリカ同時多発テロ事件後のアフガニスタン、カブール。カブールは戦争により荒廃してしまっていました。11歳の主人公パヴァーナは、そこにある小さなアパートの一室で暮らしています。教師だった父、作家の母、姉と幼い弟と貧しいながらも生活をしていました。

カブールでは、タリバンの横暴な振る舞いが日増しにエスカレートしていきます。足の悪い父が語ってくれる、アフガニスタンの歴史を伝説になぞらえた物語を楽しみにしていたある日、タリバンの兵士によって父は逮捕され、連行されてしまいます。

タリバンは女性が一人で外出することを禁じているため、家族はお金を稼ぐことも、食料を買いに行くことさえもできなくなってしまいました。

そこでパヴァーナは、一家の稼ぎ手となり家族を守るために、長い髪を切り「少年」として生きることを決意します。彼女は変装して街に出て、食糧や水を調達します。

これがうまくいったため、彼女は刑務所へ送られた父を救い出そうと考えます。危険をかえりみず、父を助ける決意をした彼女ですがどうなってしまうのでしょうか。

パヴァーナ(声:サラ・チャウドリー)…11歳の主人公。自分で作ったお話を家族に聞かせるのが大好き。家族を守るため、髪を切って「少年」として生きていく。

ヌルーラ(声:アリ・バードシャー)…パヴァーナの父。人々に手紙を書いたり読んだりすることで生計を立てていた。ある日タリバンによって拘束されてしまう。

ファテマ(声:ラアーラ・サディク)…パヴァーナの母。作家。

ソラヤ(声:シャイースタ・ラティフ)…パヴァーナの姉。母ファティマの看病と、幼い弟の世話することに日々を追われている。

シャウジア(声:ソマ・バティア)…パヴァーナと同じように少年を装って働く少女。

アフガニスタンの悲惨な現状が、今までにないほどリアルに描かれている点が本作最大の見どころです。

実際に現地で生活している人々や、問題に取り組んでいる人の協力により制作されました。私たちが生きているいまこの瞬間にも、このように苦しんでいる人々がいるという真実を知ることで、何か考えさせられるものがあります。

また本作は、2つの異なるスタイルのアニメーションによって構成されています。

“リアルなカブールの町並み”は伝統的な2Dの手描きアニメーションによって再現され、“パヴァーナが語る物語の世界”は、色彩やかな切り絵アニメーションで描かれます。異なるアニメーションの対比が、困難な現実を生きる、主人公の強い心を一層輝かせています。

アフガニスタンのリアルを描いた映画『ブレッドウィナー』は、2019年12月20日、満を持してスクリーン公開されます。数々の賞を受賞して、世界から大きな注目を集めている話題作を、ぜひ劇場でご覧ください。

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